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ジョエル・グリーンブラット:バリュー投資を、たった二つの指標に凝縮する

バリュエーション二指標クオンツ・バリューシンプル化
流派 · 深度バリュー投資
巨匠 · 編集部
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一行で言うと ゴッサム・キャピタルで20年間、年率50%

何が語られるか

ゴッサム・キャピタルで20年間、年率50%。そして彼はその手法を二つの指標に凝縮し、誰でも1時間で身につく一冊の本にまとめた。

二十七歳、ポケットには他人から預かった七百万ドル。グリーンブラットは、スター軍団もいない小さなファンドをウォール街で立ち上げた。それから二十年後、彼が差し出した成績表は年率五十%——投資史上、第三人に並ぶ数字だった。そして彼は、同業者が首をかしげるようなことをやってのける。この手法を二十ドルにも満たない薄い本にまとめ、誰にでも買えるように堂々と売り出したのだ。気前の良さでも、自慢でもない。彼が本当に言いたかったのはこうだ——公式そのものは、はじめから秘密などではない。難しいのは、それが二年続けて市場に負けたあとでも、なお「買い」のボタンを押せるかどうか、なのだ。

誰が読むべきか

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第 1 章 · ジョエル・グリーンブラット:バリュー投資を、たった二つの指標に凝縮する
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精読全文

第 1 章 · ジョエル・グリーンブラット:バリュー投資を、たった二つの指標に凝縮する

ゴッサム・キャピタルで20年間、年率50%。彼はその方法論を、普通の人でも1時間で身につく公式にまで削ぎ落とし、一冊の本にした。

27歳、ポケットには外部から預かった700万ドル。ジョエル・グリーンブラットは1985年、ゴッサム・キャピタルの看板を掲げた。豪華なチームもなければ、投資家向けのきらびやかな資料もない。あるのはただ一つの信念だけ——市場はかならず愚かな間違いを犯す。そして自分は、市場より一足先にそれを見抜ける。

それからの20年、彼はこの信念を数字で証明してみせた。

1985年から2005年まで、ゴッサム・キャピタルの年率リターンは50%。運用手数料を差し引いたあとの数字だ。これは投資史全体のなかで第三人、バフェットとシモンズに次ぐ人置にある。富の言葉に置き換えてみよう。もし1985年に10万ドルを預けていたなら、20年後の口座には、ざっと3億3000万ドルが眠っていることになる。

ところがグリーンブラットは、ウォール街の同業者を戸惑わせることをやってのけた——自分の方法論を、一冊の本に書いてしまったのだ。タイトルは『株デビューする前に知っておくべき「魔法の公式」』。2005年に出版、価格は20ドルにも満たない。

その方法論のすべては、二つの指標に圧縮されていた。

一つ目は、Earnings Yield(益回り)。EBIT、つまり利払い前・税引き前利益を、企業価値で割ったものだ。この数字が高いほど、安く買えているということ——これはグレアムの遺産であり、いわば「吸い殻拾い」の土台となる発想だ。二つ目は、Return on Capital(投下資本利益率)。この数字が高いほど、その会社のビジネスそのものが優れているということ——これはバフェットが世界に教えたこと、モート(経済的な堀)を数字で言い表したものだ。

グリーンブラットはこの二つを重ね合わせ、一枚のランキング表を作った。毎年、上人30銘柄を機械的に買い、一年持ち、入れ替える。そしてまた繰り返す。彼はこの一連の流れを「魔法の公式」と名づけた。

批判する者の第一声はこうだった——これはあまりに単純すぎる。バリュー投資の真髄が、たった一つの午後で学び終えられるはずがない、と。

だが、データは情け容赦ない。1988年から2009年まで、魔法の公式の実測リターンは年率23.8%。同じ期間のS&P500は9.5%だった。バックテストではない。実際に運用されたポートフォリオだ。超過リターンは一年や二年の幸運などではなく、21年にわたる、構造的な圧勝だった。

もちろん、話はここで終わらない。

2009年以降、魔法の公式の超過リターンは次第に縮みはじめ、じわじわとベンチマーク並みの水準へと近づいていった。疑いの声が再び押し寄せる。公式そのものが効かなくなったのではないか? あまりに多くの人がこの手法を知ってしまい、裁定の余地が食いつぶされたのではないか?

グリーンブラットの答えは、意表を突くものだった。彼はこう言った——「方法論は効かなくならない。効かなくなるのは、それを信じる人間のほうだ」

彼が言わんとしたのはこうだ。魔法の公式には、二、三年続けて市場に負ける局面がかならずある。そして大多数の投資家は、18か月目あたりで諦めてしまう。いちばん耐え抜くべきときに退場し、そして公式が再び勝ちはじめたその年に、場外に座って他人が儲けるのを眺めている。これは公式の問題ではない。人間の性(さが)の問題なのだ。

この説明そのものが、一つの授業になっている。有効な戦略には例外なく、普通の人が耐えられないほどの苦しい時期が組み込まれている。もしある方法論が、どんなときでも心地よいのなら、それはおそらくとっくに裁定で食い尽くされている。

グリーンブラット自身も、のちに姿を変えていった。ゴッサム・キャピタルは次第にゴッサム・アセット・マネジメントへと進化し、純粋なロングの銘柄選びから、ロングとショートを組み合わせたクオンツ・ファンドへと発展した——より複雑な仕組みで、同じ価格の歪みをとらえようとしたのだ。彼は自らの信念を裏切ったわけではない。ただ、より精緻な道具に持ち替えただけだった。

グレアムは人々に「安く買え」と教えた。バフェットはその上に「良いビジネスを買え」を重ねた。そしてグリーンブラットがやったのは、この二つの言葉を、誰にでも実行できる公式に変えることだった。彼は20ドルの本の値段で、バリュー投資の核心を民主化したのだ。

本当の皮肉は、ここにある——手法は誰もが学べる。だが、公式が二年続けて負けたあとでも、なおボタンを押して買える人間は、ごくごくわずかしかいない。

「安さ」と「優良さ」を同時に数値化すること——これこそ銘柄選びの最小限のフレームワークだ。Earnings Yield で割安の下限を、Return on Capital でビジネスの質を測る。どちらか一方を欠けば、バリュー・トラップか、割高なダメ・ビジネスのどちらかに足を取られる。—— 投資からの学び

編集部について

編集部

ジョエル・グリーンブラットはゴッサム・キャピタルの創業者。1985年から2005年にかけて、外部資金の運用で年率五十%という、記録に残るバリュー投資の中でも屈指のリターンを叩き出した。2005年には『株デビューする前に知っておくべき「魔法の公式」』を出版し、グレアムの「安く買う」とバフェットの「良いビジネスを買う」を、二つの定量指標へと圧縮してみせた。21年間の実測で、市場を年率十四ポイント超も上回る超過リターンを記録している。この本の価値は、その複雑さにあるのではない。本当に有効な方法論を、普通の人が理解でき、実行できるところまで還元してみせた——投資の本のなかで、これはいまなお珍しいことなのだ。

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